インプラントの長期予後 Vol.2

先日、インプラントの長期予後の統計を調査した論文の一部を抜粋しました。
そこで、この論文をもう少し解りやすく考察してみたいと思います。

「摘出に至ったインプラントには10.0mmの長さのインプラントが多かった。」
この事は、先日書いた、クラウンインプラントレシオに関係すると考えられます。すなわちインプラントの歯とそれを支えるインプラント体の比率が悪いと長持ちしないと言えるでしょう。

また「摘出は男性の方が多かった」この事は咬む力に関係するのではないでしょうか。すなわちインプラントは、ある範囲以上の咬む力が加わると長持ちしないと言えるでしょう。咬む力のは、男性の方が強いから女性より摘出した数が多いのでしょう。この調査には喫煙の調査は行っておりません。この項目ももしかしたら関係すると思いますが、現在は女性で喫煙れる方もいらっしゃいますから。
インプラントをされる方は、禁煙は必要です。

「生存率は下顎臼歯部が最も高く上顎臼歯部が最も悪かった」この事は骨の質に関係していると考られると共に、インプラントの長さにも関係しています。すなわち長いインプラントが埋入出来て骨の硬い部分は成功率が高く、骨も柔らかく短いインプラントしか埋入出来ない部分は成功率が低くなります。

「オーバーデンチャーの摘出率は高い」この事は咬む力を十分な本数のインプラントで支えることが出来なかったこと。また、揺れる義歯をインプラントが支えるため許容範囲以上の複雑な応力がインプラントに伝わるためと考えられます。

インプラントは万能ではありません。従って適切な考えの基に治療をすすめなければなりません。上記のことを要約すると。

・インプラントに許容範囲以上の力を加えないため、欠損部位に対し十分な本数を埋入する事。
・インプラントの歯の部分とそれを支えるインプラントの長さの比率を考え、十分な長さのインプラントを用いる。
・上顎臼歯部のように、骨質が悪く、十分な長さのインプラントしか埋入出来ない部位には、事前に骨移植を行い、条件を改善してから行う。

上記の注意点が、必要でしょう。ほかには歯周病や、残存歯の状態、咬み合わせの状態など複雑に関係すると考えられますが、力学的要素は上記の通りでしょう。

一度、骨接合が得られたインプラントに何らかのトラブルが発生するのは5年位経過の後のようです。言い換えれば短期的なインプラントの成功は、治療がルーズでも達成できるかもしれませんが、長期的なインプラントの成功を考えるのであれば、しっかりした治療理論に基づいて行わなければ達成できないのではないでしょうか…….

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